ラップなど家庭にある道具を使ってトイレ詰まりを直す
ご家庭の水回りに関するトラブルの代表的なものに、トイレのつまりがあります。
トイレのつまりは比較的高頻度で発生するトラブルであるにも関わらず、正しい解消法が意外と知られていないものです。
今回はトイレがつまる原因やトイレに流してはいけないものと、つまった場合にラップなど家庭にある道具を使う解消法などをご紹介します。
トイレのトラブル第1位、つまり
トイレに関するトラブルのうち、最も多いのが水がうまく流れなくなる現象、いわゆるつまりです。
日常生活においてトイレは頻繁に利用するものであるだけに、発生頻度も高いのです。
トイレがつまるということは、水が流せないということ。
水が流せないということはトイレが利用できないということです。
つまった状態で無理に水を流すと、便器から汚水があふれてくる恐れもあります。
そうした事態を避けるため、またイザというとき適切に対処するために、必要な情報を頭に入れておきましょう。
トイレに流してはいけない物は?
💁 本来トイレに流してはいけないものを流すと、つまりの原因となります。
代表例は、次のようなものです。
★ティッシュペーパー
★ウエットティッシュ
★ペットの糞
★おむつ、生理用品、ペットのトイレシート
★生ゴミ、カップラーメンの残り汁 等
ティッシュや猫砂などが、たとえ流せるタイプであっても、一度に大量に流すことはつまりの原因になります。
逆に言えば、流してよいものは人の排泄物と水溶性のトイレットペーパー、そして水のみ。それ以外のものはすべてNGという認識で概ね間違いありません。
トイレがつまる原因とは?
洗面台の下でパイプがU字型に曲がっていることはよく知られています。
あのU字パイプの意味は、曲がった部分に水が溜まることでネズミなどの害虫や悪臭が上がってくるのを防ぐという点にあります。
同様にトイレの便器から下水へ伸びるパイプも、見えない部分でS字のように曲がっています。
便器の水が溜まっている排水口の部分よりも直径の狭くなった部分が、奥に存在するのです。
奥の部分はそれだけ異物がつまりやすいということです。
トイレがつまる原因はたくさんありますが、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
つまりの原因を知ることで、予防につなげられるのです。
トイレットペーパーの使い過ぎ
数あるつまりの原因の中で最も多いのが、トイレットペーパーの使い過ぎによるものです。
一度に大量のトイレットペーパーを流すことで、パイプの狭くなった部分につまってしまうのです。
使う紙の量が多い、何度も紙を使うといった行為がつまりにつながります。
特に紙が二重になっているダブルタイプのトイレットペーパーの場合は使い過ぎてしまう傾向があるため、注意が必要です。
この原因によるつまりを防ぐには、紙の量を減らす、途中で一度流すといった対策が効果的です。
エコロジーの観点からも、トイレットペーパーの使い過ぎには気を付けましょう。
流してはいけないものを流す
本来トイレに流してはいけないものを流すことも、つまりに直結する原因です。
代表例は、次のようなものです。
>
- ティッシュペーパー
- ウエットティッシュ
- ペットの糞
- おむつ、生理用品
- 生ゴミ、カップラーメンの残り汁等
ティッシュペーパーをトイレに流してはいけないの?と疑問に感じた方もいるかもしれません。
これは昔から多くの方が誤解していることなので、あらためて説明しておきましょう。
トイレに流してよいのはトイレットペーパーで、ティッシュペーパーではありません。
両者の違いはその構成にあります。
トイレットペーパーは紙の繊維が短く増強剤なども添加されていないために、水に浸した時に繊維がほぐれやすいという特徴があります。
対してティッシュペーパーは紙の繊維が長く、水に浸してもほぐれにくいのです。
例外はありますが、箱型ティッシュペーパーやポケットティッシュなどの類は基本的に水に溶けにくいため、トイレに流すとつまりの原因となってしまうことを覚えておきましょう。
ウエットティッシュや赤ちゃんのおしり拭きなども、トイレに流してはいけません。
おむつや生理用品も吸水性の高い繊維でできているため、トイレに流すとつまる可能性が非常に高くなります。
トイレ用お掃除シートの類はそのまま流せるものとそうでないものに分かれるので、よく確認しましょう。
たとえ流せるタイプであっても、一度に大量に流すことはつまりの原因になります。
また、ペットの糞をトイレに流すのもNGです。
犬や猫などの排泄物は人のそれに比べて水に溶けにくい性質があるうえに、毛などが混ざっていることも少なくありません。
散歩で外から持ち帰った場合は、砂や石などが付着している場合もあるでしょう。
こうした付着物がつまりの原因となることもあります。
ペットの糞はトイレに流さず、自治体指定の出し方に従ってきちんと処分しましょう。
カップラーメンの残り汁等をトイレに流す人も多いようですが、これもNGです。
残り汁には水に溶けにくい食物片や、脂分が多く含まれています。
こびりつくことで配管が徐々に狭くなっていき、深刻な問題に発展する恐れがあります。
逆に言えば、流してよいものは人の排泄物と水溶性のトイレットペーパー、そして水のみ。
それ以外のものはすべてNGという認識で概ね間違いありません。
落下物によるつまり
ズボンやスカートなどのポケットからついうっかりモノを落としてしまうことは、誰にも経験があるでしょう。
それによって便器がつまるというケースも多く発生しています。
代表的な落下物は次のようなものです。
- 携帯電話
- ボールペン
- 割りばし
- おもちゃ、小物類
こうしたモノの多くはもちろん水に溶けませんし、パイプの途中に引っかかる可能性も高いため、つまりを誘発する要因となります。
落下物がパイプの奥に留まっていると、たとえ一度は水が流れたように見えても次に排泄物や水を流したときに引っかかり、つまってしまうわけです。
シャツの胸ポケットに入れている携帯電話やメモ帳、ペンなどは前に屈んだ姿勢を取った時に落ちやすいため、特に注意が必要です。
何か落としてしまったときは水を流さずに、ゴミ拾いや火バサミのようなもので取り上げましょう。
汚れてしまってもう使えないからと、そのまま流してはいけません。
トイレの水が少なくても、つまりを起こすの?
💁 本来流れるべき水量が不足しているために、つまりにつながってしまうケースがあります。
水量不足の原因のひとつとして、意図的に制限しているケースもあると思いますが、問題なく便器内から水が流れているように見えても、配管の中で異物が残り続けるといったトラブルの原因にもなります。
水量の不足
本来流れるべき水量が不足しているために、つまりにつながってしまうケースがあります。
つまりが頻発している場合は、一度水量の見直しを行ってみましょう。
水量不足の原因のひとつとして、意図的に制限しているケースもあるでしょう。
節水のために、貯水タンクに空き瓶やペットボトルなどを入れることで水量を減らしているというご家庭も多いようです。
昔から節水テクニックのひとつとしても広く紹介されていた手法ですが、これはお薦めできません。
入れた物がタンク内で部品の動作に干渉したり、タンクの損傷につながったりする恐れがあります。
また問題なく水が流れているように見えても、配管の中で異物が残り続けるといったトラブルの原因にもなります。
こうしたトラブルは、長期にわたってより深刻な問題を引き起こす原因にもなるため、要注意です。
タンクの水量はきちんとした計算に基づいて決められているので、イレギュラーな方法で水量を減らすことは避けましょう。
トイレがつまった時の解消法は?
💁 解消法は、
★しばらく待ってみる
★バケツを使う
★お湯と重曹、酢を使う
★ラバーカップを使う
★食品用ラップフィルムを使う
★業者に依頼する
の、6つがあります。
しばらく待つのは、排泄物やトイレットペーパーが、水に溶けていくのを待つ余裕があるという条件付きです。
バケツを使って水を流すというお手軽な方法や、お湯・重曹・酢を使うという方法もありますし、ラバーカップを使うのもよいでしょう。
ここまでの解消法でだめな時は、専門の業者に依頼することを考えましょう。
つまりの解消法を知ろう
いざトイレがつまってしまった場合には、どうしたらよいのでしょうか。
非常事態に直面するとつい慌ててしまいがちですが、業者に依頼する前に自分でできることがあります。
ここからはトイレが実際につまってしまった場合の解消法について、説明していきましょう。
つまりの解消法は、原因や状況によっても変わってきます。
臨機応変に判断ができるように、日頃から頭に入れておきましょう。
実際にトイレ内で作業にあたるときは、ゴム手袋を装着するのを忘れずに。
手指の細かい傷からバイ菌が入り、感染症などを引き起こす恐れがあります。
しばらく待ってみる
時間と状況が許すならばという条件付きですが、しばらく待ってみるとつまりが解消される場合があります。
パイプの奥でつまっている排泄物やトイレットペーパーが、時間の経過とともに水でほぐれていくケースです。
少なくとも数十分から数時間、可能であれば一晩おいてみて、再度水を流してみましょう。
ただし、水が便器の縁ギリギリまで溜まっている状態のときは決して水を流してはいけません。
これは他の解消法を試みる際にもいえる、基本的なルールです。
つまりが解消されていない状態でさらに水を流すと、汚水が便器の外まで溢れ出て来る恐れがあるためです。
ちなみにしばらく待ってみるというこの対処法は、後に紹介するいくつかの解消法を試した後にも有効な場合があることを覚えておきましょう。
いうまでもありませんが、便器や配管から水が漏れているといった緊急事態の場合は、もちろんこの限りではありません。
バケツを使う
バケツを使ってまとまった量の水を流すというお手軽な方法があります。
比較的軽い症状のつまりが生じている場合には、有効な方法です。
手順はまずバケツに水を汲んできて、それを便器内の排水口に向かって流し入れるというシンプルなものです。
コツは次のとおりです。
- バケツから流し入れる水流の幅が便器内の排水口と同じ幅になるよう調整する
- 便器の縁から流し入れるのではなく、排水口に直接注ぎ込むようにする
- 少し高めの位置から流し入れる
排水口の幅を超える水流で勢いよく入れ過ぎても、あまり効果は上がりません。
適切な水流を心がけて行いましょう。
水位が下がって水が流れていけば、無事開通です。
ただしつまりの症状が深刻な場合にはこの方法では解消できず、水位を上げるだけの結果となります。
症状を見ながら注意深く行い、便器内で水位が下がる様子がなければ中止しましょう。
家にある物を使ってトイレつまりを解消できる?
💁 詰まりの原因が、紙か排泄物である場合に有効な方法で、お湯と重曹とお酢を使う方法があります。
お湯はぬるま湯を準備します。便器の水をすくって少し減らしてから重曹を入れ、お酢を入れたあとお湯を注ぎ1時間ほど放置してから水を流す方法です。重曹→お酢→お湯の順番が大切です。
お湯と重曹、酢を使う
バケツの水で効果がなければ、お湯と重曹、そして酢を使うという方法もあります。
これは水流でつまりを押し流すという効果に加え、重曹と酢の力でつまりを溶かすというアプローチを行う方法です。
単純に水やお湯を注ぎ入れるよりも高い効果が期待できます。
準備するものは次のとおりです。
- お湯 45℃~50℃程度、便器の半分ほどの量
- 重曹 計量カップ4分の1
- 酢 計量カップ2分の1
酢がないときは同量のクエン酸でも代用できます。
お湯はあくまでもぬるま湯を使用すること。
50℃前後の、何とか手で触れるくらいの温度が目安です。
便器は陶器でできているため、熱湯を使用してしまうと、ひび割れが生じる恐れがあります。
ひびが入ってしまうと便器自体を取り換えなくてはならず、高額な料金を支払うハメになるので注意しましょう。
手順は次のとおりです。
- 重曹を便器に入れる
- 酢を便器に入れる
- お湯を注ぐ
重曹の後に酢、それからお湯を入れるという順番を間違わないように。
しばらくすると少しずつ泡立ってくるので、そのまま1時間ほど放置しましょう。
この泡は、重曹と酢が混ざることで発生する二酸化炭素です。
二酸化炭素のガスがつまりの原因となっているトイレットペーパーや排泄物を分解して、溶けやすくしてくれるのです。
1時間ほど経過した後はすぐに水を流さずに、バケツでお湯か水を流し入れてみましょう。
このときに可能であれば後述するラバーカップを併用することで、より確実につまりを解消することができます。
ラバーカップを使う
より直接的につまりにアプローチするための道具として、ラバーカップがあります。
ラバーカップは棒の先端に半球状のゴムが付いたもので、吸引カップやスッポンなどと呼ばれています。
便器が洋式か和式かによって対応のラバーカップは異なるので、購入の際は注意しましょう。
洋式は和式に比べて排水口がやや狭い作りになっているものが多いため、ラバーカップも小さめの形状になっています。
家庭の便器に合ったものを準備しておきましょう。
一般的なつまりであれば、このラバーカップでほとんど解消できます。
ラバーカップを使う際はまず事前準備として、下記を徹底しましょう。
- 便器内の水面が縁より10㎝以上低くなるのを待つ
- 床面に新聞紙を敷き詰める
ラバーカップは便器内に直接入れて使う道具なので、便器の縁スレスレまで水が溜まっている状態では使えません。
ある程度時間をおいて、水面が少し下がった状態になるのを待ちましょう。
そして万が一汚水があふれたり飛び散ったりしたときのために、床面には新聞紙を敷き詰めておくことを忘れずに。
使い方は、まずラバーカップを便器内の排水口に密着させて、押し付けるようにしてラバーカップ内の空気を押し出します。
次に、ラバーカップを手前側に強く引っ張ります。
この動作を繰り返し行ってパイプ内の水と空気を動かすことにより、奥につまっているものを吸引できます。
単に早く動かすのではなく、2秒かけて押した後1秒かけて引く、という動作を繰り返しましょう。
密着させながら、内部の水と空気を動かすことを意識するのがコツです。
動作中はなるべく汚水が飛び散らないように注意しましょう。
ビニールシートやゴミ袋に穴を開けてラバーカップの柄を通し、便器を覆った状態で作業するのもおすすめです。
ラップでトイレ詰まりが直せると聞いたけど方法は?
💁 便器に食品用ラップフィルムをかけて、密封状態にして水を流して詰まりの原因を押し流す方法で直すことが出来ます。
ポイントは、破れにくい食品用ラップフィルムをしっかり隙間なく便器にかけることです。水を流した時に膨らむラップを両手で押さえるときに破れないように何重にもしておくと安心です。
食品用ラップフィルムを使う
ラバーカップがない場合は、食品用のラップフィルムを使うという手もあります。
食品用ラップならばどのご家庭にも大抵あるため、すぐに試すことができます。
手順は次のとおりです。
- フタを開けた状態で便器を上から覆うように、ラップを隙間なくかける
- 水を流す
- 膨らんでくるラップの表面を手で押す
ポイントはラップをかける際に隙間ができないように密閉することです。
何枚か重ねて、しっかりと覆いましょう。
密閉できた状態で水を流すと、便器内の圧力によってラップ表面が膨らんできます。
これを上から手で押さえつけることで圧力を便器の奥にかけることができ、つまりを解消できるというものです。
対応後はラップをそのままトイレに流してしまわないように注意しましょう。
業者に依頼する
ここまでに挙げた解消法を試しても改善しない場合は、単純な便器のつまりではなく配管や下水といった部分の問題である可能性も疑わなくてはなりません。
そうなってくると個人の手には負えないので、専門の業者に依頼することを考えましょう。
プロに依頼することは、最も確実に問題点を解消する手段といえます。
ただしこの場合はもちろん、料金もそれなりにかかってきます。
業者やつまりの状況などによっても異なりますが、単純なつまりの解消で8,000円から10,000円前後、便器の交換が必要な場合では15,000円から数万円以上かかるケースもあります。
実際の流れは次のとおりです。
- 電話等で依頼
- 担当者の訪問、状況の確認
- 見積もりの提示
- 見積もり内容に問題がなければ正式依頼
- 作業
- 支払い
可能であれば依頼時に電話口で症状を伝えて、見積もりの概算を聞いておくとよいでしょう。
見積もり提示後に依頼をキャンセルした場合に出張費が発生するか否かも、業者によって変わってきます。
中には高額な出張費を請求したり、症状以上の対応を行ったりして法外な料金を取り立てようとする悪徳な業者もいるため注意が必要です。
イザというときに慌ててそういった業者を選ぶことのないように、日頃から業者の選定をしておくことをおすすめします。
備えあれば、憂いなし
一口にトイレのつまりといってもそのケースは様々です。
原因を理解したうえで、流してはいけないものにも日頃から注意を払うことで、つまりのリスクを最小限に抑えることができます。
そしていざつまりが発生したときも、今回ご紹介した解消法を知っていれば冷静に対処できるでしょう。